殺意と炎天下の純情

吐いて捨てるほどの

湿度と質量

 

 

 

季節が変わる、と感じる瞬間というのは人それぞれにあったりなかったりすると思うのだが、

春から夏への移り変わりというのはどうもどこか湿っていて 肌の奥のところから溶かされていくようなそんな気がするのだ

 

 

虫が鳴き始め 騒がしく静かに

夜中の空さえどこか湿度を帯びる

 

 

気づくと私は外に出ていて、

ジャージに小銭を入れて 携帯すら持たずにペットボトルだけを小脇に抱えながら歩いている

 

 

思い出は全て同じ鞄に詰めて捨ててしまう

 

 

萎れた花に水が注げない

カーテンを開けられない

 

 

無音の静寂というものは無いのだ

 

 

無い記憶が無いのだ

 

忘れたつもりで

 

 

呼び起こされる絵に毎度疲弊し切ってしまう

 

美しかったはずの絵が

その美しさを分銅に変えて伸し掛かる

 

 

 

 

 

鞄に入れて捨ててしまう

少し大きい鞄が必要なのかもしれない