殺意と炎天下の純情

吐いて捨てるほどの

日記

 

 

古書店には不思議な気が漂っている

 

幾年もの月日を越えてきた本には人々の営みと歴史が

擦り切れた紙と傷の付いた扉に刻まれている

 

 

人と人 人と人 

 

繋がるものは全て生活で

 

交差してきた人の線がその傷痕なのだ

 

 

それを一所に集めて漂うものは

圧倒的な風を含ませて窓から抜けていく

 

 

抜け落ちた頁

壊れた栞

糊の剥がれた背

 

 

人の匂いがする

 

 

優しい風だ