冬ってけっこう忙しい
夏の暑さに負けただらしない僕が残したやり残しを全部、年が明けるまでにやらないといけない
部屋を片付けて、窓を拭いて、シーツを替えないといけない
幾度となく季節が廻って、時間が過ぎて、
幽霊のように生きていた頃の記憶がすっかり抜け落ちてしまった
僕の身体を巡っていった風は今何処を亘っているのだろう
寂しい気持ちを1秒抱えると、それを引き摺ってしまうのは何故だろう
がらくたを掻き集めて作った部屋
もう何処にもない僕の抜け殻
擦り傷だらけになった指先が冷えた風に切り刻まれている
頬に微かに残った君の香りが立ち上る
三千百五十三万六千秒の過ぎる速さを思い出しながら、
そのうちの三千六百秒を街の灯りを眺めるために使った
バニラの甘い香りがする人とすれ違うと
クリスマスが近づいていることを知る
ひとりでは知り得ない
それとなく物悲しいのは君と手をつなげないから
耳障りな周波数を丁寧に切り取って
コラージュした日記帳
僕のゴーストタウンに駆け巡る夜が
やさしくいのちを狩り獲っていく