殺意と炎天下の純情

吐いて捨てるほどの

台所

 

 

 

 

 

いつからだったか覚えていない

家に1人の時間に薄く暗い台所に立つと

なぜだか無性に悲しいような切ないような静かにざわざわとした気持ちになることに気がついた

 

なぜだかわからなかった 

 

 

静かにごおおと鳴る冷蔵庫

これは、水の中に居るときの音だ

 

母の立つ場所 母が私たちに食事を作る場所

時たま、自ら食す場所

 

生きる為の場所 そして 死を喰らう場所

冷たい死の居場所 

 

忘れた筈の羊水を思い出す感覚

 

赤ん坊

生きて死ぬために生まれてきたもの

 

 

あぁ、ここはすべてだ と思った

 

そうして、わたしは寂しくなって、切なくなって、それでも生き続けている 母の立つ場所で 羊水の中で 

 

いつも還ることができる

さんさんと ひたひたとしとしとと 

惨酷に煌々と息をする