殺意と炎天下の純情

吐いて捨てるほどの

春泥

 

グロテスクで、恥ずかしくて、気色悪くて異臭がする

生きることって多分、大概そうなのかもしれない

 

人が、あまりにも多すぎる

多すぎる人が居る

肌の温度も、声も、瞬きも、

全部が違ういのちであることが気持ち悪い

 

気持ち悪いけど、

きっと尊いものなのかもしれない

わかれないけど、多分そうなの

だって、僕の好きな君も

有象無象のひとつだから

 

呼吸をして、血が巡る腕に意識を向けて

わたしのいのちが鳴り響く音を聴いている

 

陽の光に手のひらを翳して、本当に

真っ赤な血潮が流れているのを知って

僕のいのちが紛れもなく此処にあることを

恐ろしく思った