涙と共に苦しそうに声を吐き出すことに合わせて雨が降り始める
僕たちはずっと哀れで美しかった
全ての身体が柔らかくなってしまった獅子の様で
金色の立髪がマリーゴールドのように腑抜けている
愛しているということ
急に雨が降り出した時に、君は傘を持っているだろうかと心配になること
愛しているということ
星が綺麗だと君に教えたくなる夜のこと
愛していたということ
君が涙を流すことがないように祈ること
僕が本当はまったく元気ではないということを
誰にも見抜かれないということに
喜ぶべきか悲しむべきか
西陽が差し込んで、痛いな
僕らの網膜など焼き尽くしてくれないだろうか
乗り込んだ車の風を切る音が
静かで、煩くて、痛いな
身体の中身がぐらぐら煮えていて
それをずっと誤魔化しながら息をしている
開いていたことがない喫茶店
行き先の無くなった水道の管
伸び切った草木のよれた姿
痛くて、痛みながら
少しずつ風に晒されていく