殺意と炎天下の純情

吐いて捨てるほどの

 

普通で平凡な幸せな生活がしたかった

 

目を塞いで見えない振りをしているだけで

聞こえない振りをしているだけで

知らない振りをしているだけで

本当は全然普通じゃない

何もかもが普通じゃない

 

普通で平凡でそれでもそこそこに満足のいく生活というものが

本当はすっごくすっごく幸せなものなんだって知った

 

手に入らないものが欲しいわけじゃない

身の丈に合わない絢爛さもいらない

 

なのになんでか必要なはずだったものだけが

側に無い

 

無かったことで得たものもあるし

失ったから見つけた物もある

足掻いたから知ったこともある

 

今の私を形成したすべてのものに対して

「良かった」と言ってしまえば、たしかに「良かった」のかもしれない 

きっとそういうことなのだと思う

 

苦労を知らず涙も流さず恨み辛み悲しみなんかただの一滴も舐めたことすらない、

そういう人間であって、何一つ知らないまま死んでいく方が幸せだったのか

そうじゃ無い今が幸せなのか

 

わからないけど、今、持ってしまったものを全部無駄にはさせたくなかった

 

平穏な人生なら絵なんか描かなかっただろうし

平凡な人生なら詩なんか書かなかった

平和な人生なら自分の痛みも人の痛みも知らないままだった

 

泥に塗れて汚い涙を流しても

私は私のままでいたいと思う

自分の息は自分で止める

誰にも殺させない